シャープの公式ツイッターの、悲しげなつぶやきが話題だ。夏のスマートフォン商戦でNTTドコモが「ツートップ」戦略を打ち出し、「AQUOS PHONE」が弾かれたことで、その心境をつぶやいたとみられる。
シャープの公式ツイッターは自虐的な、ゆるいツイートで知られており、2013年7月8日のツイートも、「ツートップじゃないから…」と、なんとも悲しげだ。
「暑過ぎなTLに、肝の冷える画像」
シャープの公式ツイッター「@SHARP_JP」に貼られた画像は、NTTドコモ向けの2013年夏モデル「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」。断崖に人がたたずんでいるもので、その画像に添えて、「『お前ツートップじゃないから』と宣告される瞬間、想像してみるのも割と涼しくなれると思うんだ…」「暑過ぎなTL(タイムライン)に、肝が冷える画像、貼っときますね」と、ツイートしている。
経営再建中のシャープは、NTTドコモが打ち出した、ソニー製の「Xperia A SO-04E」とサムスン電子製の「GALAXY S4 SC-04E」を他の端末よりも積極的に販売していく「ツートップ」戦略にもめげず、5月23日にスマートフォンとタブレット端末の夏モデルの製品説明会を開催した。
シャープ製の「売り」は、電力消費を低減できるIGZO搭載モデル。同社は12年下期のスマートフォンとタブレット端末の出荷台数のうち40%を占めたIGZO搭載モデルを、13年度は60%、14年度は100%を目指すと、力を入れていた。
一方、市場調査のMM総研によると、シャープの2012年度の携帯電話出荷シェア(国内)は14%で3位にとどまったが、下期はNTTドコモ向けのIGZO搭載モデル「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」が発売から5か月で約60万台に達するなど好調。国内シェアもようやく回復基調に乗ろうか、というところだった。
まさに崖っぷちからの起死回生を目指しているシャープにとっては、その矢先に、NTTドコモに半ば「もう売らない」と言わんばかりの、冷水を浴びせられたわけだ。
シャープのツイッター発言には7月9日現在で2000件を超えるリツイートがあり、ツイッターユーザーからは「自虐さがシャープすぎる」「なんだか、(ドコモ)勝手すぎね」などと、シャープに対して同情の声もあがっていた。
「ツートップ」との明暗くっきり
とはいえ、NTTドコモの「ツートップ」戦略によって、シャープの2013年夏モデルが振るわないのは確かなようだ。
シャープは「スマートフォンの販売台数は公表していません」というが、6月の携帯電話の販売台数はNTTドコモ向けだけで約7万台が売れたとみられる。
NTTドコモは、ソニー製とサムスン製の「ツートップ」の6月の販売台数が合わせて120万台を突破したことを明らかにしている。2製品でシェアの8割を占めた、とされるから、「ツートップ」とシャープ製とではケタ違い。シャープ製も含め、ツートップとそれ以外の機種とでは明暗がはっきり分かれたようだ。
シャープは7月12日、KDDI(au)向けのスマートフォンにIGZO搭載モデルを投入。ソフトバンク向けにはタブレット端末を発売し、巻き返しを図る。
ちなみに、シャープは「ツイッターは一般の方に向けたものではありますが、これが正式なメッセージといわれると、ちょっと微妙なものがあります」と話している。