「王コミッショナー待望論」が辞任へのシグナル?
菅谷氏は、加藤コミッショナー「退場」のシナリオは7月1日、巨人軍の渡辺恒雄球団会長が次期コミッショナーに王貞治氏の名前を挙げた時点で描かれていたと考える。翌日も渡辺会長は報道陣に「王コミッショナー待望論」をぶち上げ、「俺はほかに誰も押さない」と明言した。「これが加藤氏に向けた、コミッショナー辞任へのシグナルだったのではないでしょうか」
では「辞め時」はいつか。菅谷氏は全日本柔道連盟の上村春樹会長の辞任騒動を例に挙げる。柔道界の度重なる不祥事にもかかわらず、全柔連トップである上村会長が職にしがみついたことで批判が集中した。ようやく6月24日に「改革が軌道に乗ったら辞任する」と発言し、10月をめどにすることを示唆した。全柔連のケースとは異なるが、統一球問題は多くの野球ファンの信頼を失ったのは間違いない。加藤コミッショナーがただちに辞任するかは微妙だが、任期満了までとなれば世論の理解が得られない。結局は一定の時期を決めて身を引くと発表するのではないかという。
オーナーの不評により辞任したコミッショナーは、過去にも存在する。1979年から6年間務めた、故・下田武三氏だ。だがその原因は、不祥事や世間から批判を受けたからではない。下田氏は球界の改革にらつ腕をふるい、時には強いリーダーシップを発揮したためオーナーと衝突、そのため一部のオーナーから再選の支持を得られずにやむなく職を辞したようだ。菅谷氏は「下田氏のケースは、加藤氏とは正反対」と述べ、こう強調した。
「今回は、むしろオーナーが動かないとファンは激怒するでしょう。プロ野球離れが深刻化してしまいますよ」