券売機とスイカで損得バラバラ
実際にどのような運賃になりそうか。日経新聞(6月17日)の試算(現行運賃に105分の108をかけた)によると、現行190円の東京―新宿、同―渋谷は、スイカでは195円、券売機では四捨五入して200円になる一方、現行160円の東京―品川間は、スイカが165円になる一方、券売機は切り捨てになって160円のまま、東京―横浜(現行450円)も、スイカ463円、」券売機は460円になるといった具合だ。
公共料金の二重料金は高速料金で、ETC搭載車と非搭載車で差をつけているが、こちらは基本的にETC優遇と分かりやすい。これに対し、今回の鉄道運賃はIC乗車券が必ずしも有利ではないという違いもあり、利害が一段と複雑といえる。
このためもあって、鉄道会社の対応は全国では分裂している。JR西日本の真鍋精志社長は5月22日の会見で、「これまで(消費税対応は)10円刻みでやってきた。今回も関西は従来のやり方になると思う」と述べ、二重運賃にはしない方針を明言。関西の大手私鉄も1円刻みの運賃には消極的だ。JR東海など他のJR各社も10円単位の方向が多く、JR九州は未定といったところ。首都圏のパスモ陣営でも、1円単位の方針を明言しているのはごく一部にとどまり、議論がまだ生煮えであることを示している。
運賃改定は鉄道各社が今秋に申請する見通しだが、運賃の違いを分かりやすく示すなど丁寧な説明が不可欠だが、それでも利用者の理解を得るのは簡単ではない。