「ネットを本気で取り入れようする覚悟が足りない」
ガイドラインには、テレビ受信機の「望ましい」姿として、電源を入れてテレビを起動させた際に「テレビ映像を表示画面全体に表示する」とある。またテレビ映像とそれ以外のコンテンツを同時表示する際は、後者について「テレビ映像とは異なるサービス」と明確にわかる画面構成にする、と説明されている。規定を守らなかったテレビ受信機の処遇をどうするかについては、特に明記されていない。だがスマートビエラが「望ましい」受像機でないことは明らかだろう。「CM拒否」はその「おしおき」だったのだろうか。
上智大学文学部新聞学科の碓井広義教授(メディア論)はJ-CASTニュースの取材に、民放側が掲げる「視聴者の混乱を招く」という理屈に違和感があると話す。ネットがこれほど普及している今日、「同じ画面上に番組とウェブが表示されて、視聴者が困惑するとは思えません」。
碓井教授が教える学生も、テレビ番組だけを食い入るように見ている人は少ない。むしろ番組を横目で見ながらパソコンやスマートフォンに感想を書き込んだりして楽しむスタイルに変わりつつある。ネットに慣れない高齢者への配慮は必要だが、1台でテレビもネットも使えるスマートテレビは時代に沿った製品と言えそうだ。若者世代を「テレビ離れ」から引き戻すツールになるかもしれない。一方、前出のガイドラインが策定されたのは6年前。「デジタルの世界では『大昔』にできた業界ルールを、進化したデジタルメディアに当てはめること自体がおかしい」と批判する。
スマートテレビになれば、例えばドラマや歌番組を見ながらその横にはツイッターで厳しい批評が書き込まれる可能性はある。しかもそれは放送局側がコントロールできない。碓井教授は「テレビ業界はそれを望んでいないのでしょう。ネットを本気で取り入れようとの覚悟が足りないです」と述べた。