全面解禁VS部分解禁、結論は秋以降
ネット事業者からは、安倍首相の「全面解禁」宣言直後には、業界大手のケンコーコムの後藤玄利社長が「首相の英断に心より感謝いたします」と評価するコメントを出すなど、歓迎の声が出たが、厚労省の対応などが明らかになるにつれ、「全面解禁を掲げたのに、除外品も出てくるというのはおかしい」と、反発の声が強まっている。
政府の産業競争力会議で一時、委員辞任をほのめかして解禁を迫ったといわれる三木谷浩史・楽天社長は、官僚の抵抗により骨抜きにされたことを批判。「抵抗勢力の頑強さを痛感した」と、6月12日付の日本経済新聞で不満をぶちまけている。
このまま「全面解禁」が後退すれば、安倍政権の参院選向けのパフォーマンスのようにも受け取られかねないが、他方、「ネット解禁で薬市場のパイが増えるわけでなく、儲かるのはネット事業者だけで、地域の零細薬局が淘汰されれば、逆に住民にはマイナス」(野党幹部)といった指摘も絶えない。
今後、解禁対象の範囲に加えて、副作用リスクをどう開示するかなど販売方法の検討も始まる。厚労省の検討会の結論は秋以降になる予定で、解禁推進派と反対派の攻防は激しさを増しそうだ。