ANA「平等な競争条件ではない」
とはいうものの、根深い批判があるのも事実。安倍晋三政権が誕生した直後の今年2月の参院予算委員会で、自民党議員が「利益の4割を(配当として)海外に出すのは売国的な行為だ」と指摘、日航による外国人株主への配当方針を激しく非難した。「日航が配当できるようになったのは、国民負担があったためだ」というのが理由だ。この発言に応じるように、麻生太郎財務相も「税金で助かった会社の配当が海外に行くのは腑に落ちない」と述べた。
こうした批判の背景には、民主党政権時代に多大な公的支援を得て再建した日航に対し、「公正な競争が成り立っていない」という自民党や日航の最大のライバル、ANAホールディングスの反発がある。実際、ANAホールディングスの伊東信一郎社長は日航の株主総会から約1週間後の6月27日に開いた自社の株主総会で、日航との競争について株主から問われ、「平等な競争条件ではない」と改めて不満を示した。
日航はあくまで「株主を平等に」という姿勢で定款変更に踏み切ったが、逆風は容易には収まらない気配だ。