「私も古い人間なので、外来語が多いという(印象を持つ)のはある」――NHKの松本正之会長が2013年7月4日の記者会見でこう告白した。
NHKの外来語使用をめぐっては、番組に理解できない言葉が多く使われ、精神的苦痛を受けたとして慰謝料を求める訴訟が名古屋地裁に起こされている。今後、NHK外来語の使用が減ることはあるのだろうか。
「疑問を持たせることで魅力づける効用も」
発端は、外国語の乱用で内容を理解できず、精神的苦痛を受けたとして、71歳の男性がNHKに対し141万円の慰謝料を求めたことだ。
男性は、NHKで「リスク」「システム」「トラブル」「ケア」などの外国語が多用されており、番組名にも「BSコンシェルジュ」「スタジオパークからこんにちは」「ほっとイブニング」「Sportsプラス」「Shibuya Deep A」などとカタカナ語が多く用いられていると指摘。日本語で容易に表現できる場合でも使われているとし、視聴者の大部分が理解できる言語で製作されていないため、憲法で保護された知る権利や幸福追求の権利を侵害していると主張した。
これに絡んだ質問にこたえて、松本会長は「私も古い人間なので、外来語が多いという(印象を持つ)のはある」と認めた。ただ、番組制作は「(用語使用の)ガイドラインを踏まえたものになっている」とし、法的な問題はないとの認識を示した。また、「外来語にはプラスの面と、分かりにくい面がある。うまく組み合わせていくことが大切だ」「番組の題名などでは、(外国語によって)疑問を持たせることで魅力づける効用もある」と視聴者への理解を求めた。
「年寄りの繰り言を聞く必要はないと思う」
この外来語の使用をめぐって、ネット上で意見が割れている。
「会長のような学問のある方であれば良かろう。ほとんどのお年寄りはそうはいかない。NHKは視聴料を取って運営されている以上。本当は万民が理解できて当たり前。松本会長が解ったら、すべての視聴者が解るのであれば良い。万民がわかる日本語を使うのがNHK でないのか。視聴料とってる以上視聴者の意見を聞くのが本筋」「視聴者に分かりにくいのが問題なのだが。ズレてるなぁ」と、分かりづらさを指摘する声はかなり多い。
一方で、「外来語って日本語の一部じゃないんですかねぇ。単なる慣れの問題で、年寄りの繰り言を聞く必要はないと思うのだけれど」「一つの例として『OS』のことを『基本ソフト』とか言うのは止めてほしい。OSのことをOSと言って通じない人には、なんと言い換えようと通じないし、ヘタな言い換えでわかった気になられるのは迷惑この上ない」という意見もある。
こうした意見を受け、NHKは今後、外来語の扱いをどうするつもりなのか。NHK広報部は、J-CASTニュースに対して、「放送で使うことばは、わかりやすさを基本にしています。わかりにくい外来語には、言い添えや説明を加えたり、言いかえをしたりしています。NHKは『放送ガイドライン』や『ことばのハンドブック』に基づいて、引き続き視聴者の方々にできるだけわりかりやすいよう務めていきます」とコメントしている。