「ツートップ」に選ばれなかった他社スマホと格差歴然
加藤社長のインタビューでは、ドコモが掲げる「ツートップ戦略」も話題に上ったが、これも各社見解が分かれた。毎日新聞朝刊では「『ツートップ』戦略が奏功し、想定以上の売れ行きとなっている」と高く評価した。加藤社長は、優遇した2機種のうちソニー・モバイルコミュニケーションズの「エクスペリアA」が2013年6月末までの販売台数が83万台、韓国サムスン電子の「ギャラクシーS4」が40万台と明かしている。ブルームバーグも、戦略は「好調」と位置づけた。
これに対してフジサンケイビジネスアイ電子版では、他機種との販売台数に極端な差が開いたことから「『ツートップ』戦略で明暗クッキリ」とした。同時期に発売したシャープや富士通のスマートフォン(スマホ)は7万台にとどまり、1万台程度の製品もある。2機種との格差は歴然だ。またロイター通信は、加藤社長が、「機種変更の増加で端末販売は伸びているものの、他社との顧客獲得競争の面では『即効果は出てこない状況』と述べた」点を紹介している。「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話の契約者をスマホに乗り換えてもらううえでは功を奏しているが、「番号持ち運び制度(MNP)」で他社から顧客を奪うまでには至っていないのだ。
ドコモが2013年6月7日に発表した、5月末時点の携帯電話契約数は、新規契約から解約を差し引いた純増数が9万1800件。一時の「純減」からは脱却したが、携帯電話会社のなかでは3番手という構図は変わっていない。MNPも13万5800件の転出超過と「独り負け」が続いた。
ツートップ戦略を始めてから2か月程度しか経過していないため、各メディアにとっては現時点で結論を出すのは早すぎる。二分した評価がどちらに転ぶかで、ドコモのスマホ戦略が大きく変わるかもしれない。