「新しい駒を探してください」と自殺
実行委員会ではその理由として、2つの事例を挙げた。
1つは2007年12月、同大大学院薬学研究科で助手を務めていた男性(当時24)が自殺した例だ。遺族の主張によれば、男性は自分の研究を優先できるとの約束で同年4月に助手になったものの、実際には仕事に忙殺され月100時間以上の時間外勤務、また生殖機能異常などの副作用を伴う抗がん剤の実験にも一人っきりで駆り出され、「もう子どもができない」と嘆いていたという。さらに指導教授からは「仕事が遅い。他の子を採用すればよかった」との叱責もあったともされ、結局男性は助手就任から8か月後、自らの所属研究室から投身自殺、遺書にはこう書かれていたという。
「新しい駒を探してください」
宮城労働局は12年3月、心理的負担の大きさを理由に労災と認めた。また遺族は大学を相手取り、約1億円の損害賠償を求め現在争っている。
男性准教授(当時48)が12年1月末に自殺した問題も、同実行委のサイトでは挙げられている。准教授は工学研究科の気鋭研究者だったが、大震災で研究室が全壊、その対応に日夜追われることに。さらにようやく研究再開のメドが立った直後、大学側は突如、研究室の閉鎖を告げた。准教授は直後に自殺した(12年10月に労災認定)。
なお同大をめぐっては過去にも、2008年に自殺した大学院生(当時29)の遺族が、自殺の原因が教員の「アカハラ」によるものだと大学を提訴したことがある。「研究第一」の大学としては、いささか不名誉な状況だ。
「ブラック企業大賞」のページではノミネート企業を対象としたウェブ投票を行っているが、3日午後現在、東北大学はワタミに続く2位にランクインしている。この問題につき、同大学に取材を試みたが、担当者不在を理由にコメントは得られなかった。