王会長は助けてくれと頼まれれば断れないタイプ
それでは王会長がコミッショナーに就任するのかといえばいくつかのハードルがあるのだという。まずソフトバンクの球団会長との掛け持ちは難しいため辞任しなければならないが、王会長はソフトバンクに並々ならぬ恩義を感じている。そして、雪解けしたとも言われているが、王会長はかつて巨人軍を追い出された経緯があり、オーナーの渡辺会長との因縁、確執がのこっているはず、というのだ。
「コミッショナーは12球団のオーナー会議で決まりますが、どうしても王さんに受けてもらいたいなら、ナベツネ氏以外のオーナーが束になり説得することが必要かもしれません」
と話している。
スポーツジャーナリストの菅谷齊さんは、
「王さんが引き受けるかどうかは五分五分の微妙な状態です」
と分析している。実は、王会長をコミッショナーにしようという動きは数年前から密かに進んでいた。それは野球をよく知らない官僚の天下り先にコミッショナーがあるということに疑問を感じている人が多く、王会長も自分が推されていることを知っていたはずだ、というのだ。
加藤コミッショナーも元外交官で、そんな彼を推薦したのは他でもない渡辺会長だった。今回のゴタゴタで渡辺会長は自身の「尻拭い」をしなければならず、誰もが認める王会長を選択するしかなかった、というのが菅谷さんの見立てだ。しかし、2人には長きにわたる因縁と確執がある。
「選手を見下す発言で有名なナベツネ氏ですが、今回ばかりは真剣に頭を下げるのではないか。王さんはピンチだから助けてくれと頼まれれば断れないタイプですからね。最終手段として長嶋茂雄読売ジャイアンツ終身名誉監督に説得させるかもしれません。プロ野球で、先輩と後輩の関係は絶対ですから引き受けざるを得ないのではないでしょうか」
と菅谷さんは話している。