ワタミグループ創業者・渡邉美樹氏の参院選出馬に、「身内」の自民党議員からも「公認を取り止めるべきでは」との声が出始めた。
渡邉氏の出馬をめぐっては、ワタミの労働環境などがいわゆる「ブラック企業」との批判を受けていることから、この1か月間、激しい議論が巻き起こっている。そんな中、自民・平沢勝栄衆院議員が2013年6月28日深夜の「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)で、渡邉氏に対して異例の「注文」をつけた。
「抗議も党本部にずいぶん来ている」
番組では、まず評論家の荻上チキさんが、渡邉氏の出馬をめぐりネットでかなり激しい議論が起きていると問題提起、平沢議員に「自民党にも(抗議の)電話とか来てませんか」と質問した。これに対して平沢議員は神妙な面持ちで、
「抗議は党本部にもずいぶん来てまして、これはあの、おそらく、党のほうでなんらかの対応はすると思いますけど」
といささか歯切れの悪い回答をする。「平沢さんはどう思われます?」と畳み掛けられると、「私は……今……」と声を詰まらせるなど、一瞬答えに窮した様子だったが、やがて覚悟を決めた様子で、
「国民から一杯来ている声を聞く限りでは、これはむしろ、一定の票は取ると思いますけれど、それ以上に減る票の方が多いと思う。私はそう思います」
「となると、(公認を)やめたほうがいいということですね」との問いにも、「ということですね」と即答、さらに続けて、
「私個人の考えですけど、ぜひそういう形に持っていきたいな、と」
と断言した。
ネットメディア局長「私も違和感あります」
渡邉氏の自民からの出馬は、安倍晋三首相直々の要請によるものだ。にもかかわらず、以前から平沢議員に限らず、自民党内部や支持者の間では公認への賛否が分かれ、党ネットメディア局長の平井卓也衆院議員も6月1日、ツイッターで「私も違和感あります」と発言している。27日発売の「週刊文春」によれば石破茂幹事長も、
「党や私のところにも批判のメールや手紙が山ほど来ています。本人にも(ブラック企業か否かについて)きちんと説明するよう何度も言っていますし、説明が十分でないとなれば私どもも考えます」
と話したという。
渡邉氏も27日にはワタミ取締役を辞任したほか、また第三者委員会を設け、ワタミ社内の労務管理を調査すると表明している。一方で連日のようにフェイスブックに各地での活動記録を掲載するなど、参院選に向け当人のボルテージはますます高まっているようだ。