あおぞら銀行会長にも旧大蔵省出身者
その結果、国民生活金融公庫など8つの政府系金融機関のうち7つは2008年に「日本政策金融公庫」など5機関に再編された。沖縄振興開発金融公庫は2012年以降に日本政策金融公庫に統合するとされたが、先送りされている。残る公営企業金融公庫は「地方公営企業等金融機構」に衣替えして生き残った。
商工中金は当初、「そのまま存続はするが2015年までに完全民営化する」と決められたが、リーマン・ショック後の信用不安のどさくさの中で、完全民営化の先送りが決まり、現在に至る。政府系金融機関改革の中で、軒並みトップが民間人となったが、商工中金は経産省が「指定席」を奪還した形。小泉氏からすれば「せっかくつけた改革の道筋を逆行させる路線が完成してしまった」ということだろうか。
商工中金には、民間金融機関から「民業圧迫」という批判がある。黒田東彦総裁率いる日銀の異次元緩和により、民間金融機関の資金運用先を国債などの安全資産からリスクのある企業融資などにシフトすることが促されているなか、それを阻害する存在との指摘もある。
最近では、他にもあおぞら銀行会長に旧大蔵省出身の福田誠氏(全国地方銀行協会副会長)が就くことが決まるなど、これまで減る一方だった官僚OBの天下り先が確保される例も出始めた。いずれも「人物本位で選んだ」という触れ込みだが、額面通りに受け取る人が多くない。