ネット暴露で新聞に読者投稿できない時代? 「言論の封殺」朝日主張には疑問の声も

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「新聞社の姿勢が時代遅れ」「匿名でも良いんでは」

   例えば、当時の野田佳彦首相が自民党の安倍晋三総裁について過去に政権を投げ出したと衆院選の街頭演説で批判したという2012年12月の記事の2ちゃんスレだ。そこでは、声欄の投書がそのまま転載されるとともに、投稿者の詳しい住所や電話番号が晒されていた。

   この投書の投稿者は、12年10月に安倍氏の改憲姿勢に疑問を投げかける内容を書いており、朝日が今回の記事で挙げた被害者の1人だとみられる。投稿者には数日後に自宅に電話があり、無言が続いた後に「売国奴」と罵られたという。とすると、その時点ですでに個人情報が晒されていたことになる。

   その後も、2ちゃんでほかの投稿者数人の個人情報もさらされ、12月の別のスレでは逆に、同じ人物とみられる書き込み主に対する批判が相次いだ。

   「こええ こういう奴が表現の自由を奪ってるんだなって」「一体なに考えてさらしてんだろうな」「これはどこに通報すればいいんだ?」…

   さらに、2ちゃんまとめブログにも、個人情報を載せたまま転載しているケースが次々に見つかり、このスレで批判が集まった。「これでスレたてて被害者にアフィブロガーを訴えさせよう」「朝日に通報したら記事化&警察沙汰にして名前晒してくれるんじゃないか」といった動きにもなった。

   つまり、個人情報を晒す行為については、ネット上でも批判する声が当時から出ていたわけだ。こうしたことから、必ずしもネットに自浄作用がないとは言えないことになる。また、ネットの電話帳は、そもそもNTTのものから書き写したとみられており、問題があるとすればまずそこにあることになりそうだ。

   今回の朝日記事に対しては、ネット上では、「実名投稿が危うくなるなぁ」「個人攻撃じゃなく反論を投稿すればいいのに」と共感する声はある。しかし、「何でもかんでも実名を掲載すれば良いというものではない。新聞社の姿勢が時代遅れ」「匿名でも良いんでは」との声も上がっていた。

   このままでは投書欄を止めざるをえなくなったり、匿名に切り替える必要が出てきたりしないのか。これらの点について、朝日新聞社の広報部に取材すると、「この問題については、当該記事で詳細に報じた通りです。読者にお伝えした以上の事については公表していません」などとコメントするだけだった。

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