「独立」は沖縄県民の総意ではない
とはいえ、「沖縄の皆さんも『琉球で独立した方がいい。まだ中国の方が沖縄のことを思ってくれている』という気持ちになる」とは、穏やかでない。
松井幹事長は「あまりに沖縄が疎外されれば、(沖縄は)そういう思いになってくるということ」と自身の主張を繰り返したが、中国国内では米国から日本への沖縄返還を「国際法違反」とする声や、「歴史的経緯からみて琉球の主権は中国にある」という「沖縄領有論」に、チベット自治区をまねて「琉球特別自治区」を求める民間組織まで現れるほど、「琉球独立」を促すムードが広がっているのだ。
わざわざ中国を喜ばすような発言をすることはない、というわけだ。
そもそも、沖縄県民で「独立したい」と思っている人は少数派だ。琉球新報社が2012年1月に報じた沖縄県民意識調査(2011年11月、有効回答率56.9%)によると、米軍基地の「縮小」「撤去」を望む人は65.9%を占めたが、今後の日本における沖縄の立場(状況)については61.8%が「現行どおり日本の一地域(県)」と答え、「独立」はわずか4.7%だった。
さらに、2013年5月に沖縄県知事公室地域安全政策課が公表した「中国に対する県民の意識調査」では、89.0%が中国によくない印象をもっているとした。
普天間基地の移設問題やオスプレイの配備問題から、沖縄県民のあいだに「本土」への不信感が高まっている可能性は否定しないが、「独立」は県民の総意とはいえないようだ。