「撮り鉄」と呼ばれる写真撮影を専門にする鉄道マニアのマナーが問題になるなか、電車内で音を録音する際のマナーがクローズアップされている。
車内放送を録音していた乗客が他の乗客に「うるさい、黙れ」と暴言を吐いたとしてトラブルになり、鉄道会社側が注意を呼びかける文章をウェブサイトに掲載するという異例の事態になっている。
「会話をしていた他のお客様に対し、『うるさい、黙れ』と暴言」
2013年6月24日、千葉市内を運行している千葉都市モノレールのウェブサイトに、こんな注意書きが掲載された。
「先日、録音中のお客様が、会話をしていた他のお客様に対し、『うるさい、黙れ』と暴言を吐き、相手方のお客様との間でトラブルが発生しました。列車には大勢のお客様がご乗車されており、車内は他のお客様の話し声、物音、列車の走行音、機械音など様々な声や音がする環境にあります。録音されるお客様は列車内がそういうものであるということをご了解ください」
鉄道ファンの中には、モーター音や発車ベル、車内アナウンスを録音する「録り鉄」と呼ばれるジャンルがあることが知られているが、録音をめぐって公共交通機関が乗客に対して注意喚起するのは珍しい。
今回注意喚起の対象になったのは、「スペシャルコラボラッピングモノレール『俺の妹。号』」を目当てにした乗客だ。このモノレールは、千葉市を舞台にした人気アニメ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」の第2期放送が13年4月から始まるのを記念して、3月30日に運行が始まった。外装だけでなく車内広告にも作品のキャラクターが登場しているのが特徴だ。6月8日からは、一部時間帯の車内アナウンスを高坂桐乃役の竹達彩奈さんと黒猫役の花澤香菜さんが担当。このアナウンスの録音を目当てにモノレールに乗りに来る人もいるようだ。
「録り鉄」よりもアニメファンの方が多い印象
千葉都市モノレールによると、このラッピング車両を目当てにしている人は「鉄道ファンというよりは、アニメが好きな方が多いという印象」だといい、
「ファンの方には楽しんで欲しいが、一般の乗客も一緒に乗っていることを理解してほしい」
と話している。
この特別車両は当初は6月30日まで運行される予定だったが、9月30日まで延長が決まっている。実は、録音をめぐって他の乗客に暴言を吐いた事例は1例しか確認されていないが、乗客が増える夏休みを前に予防的措置として注意を呼びかけることにした。ウェブサイトの文章では、録音以外に写真撮影のマナーについても言及。
「安全運行に支障が出ると判断された場合、また他のお客様とのトラブルが発生した場合、大変残念ながら『俺の妹。号』の運行継続ができなくなる可能性もあります」
とくぎを刺している。