強姦、強制わいせつ――これら悪質な性犯罪が、全国的に増加傾向にある。
最近、大阪府内での性犯罪増加がメディアで報じられ、ネット上では「大阪ヤバい」などと茶化す声に満ちている。ところがどうやら東京、あるいは他都市もそうそう負けていないらしい。特にレイプ事件の増加は、東京と大阪はほぼ同ペースだ。
犯罪件数全体は年々減っているが…
「大阪、性犯罪が過去最悪の発生ペース 路上で拉致、監禁も 声かけられたら"要注意"」
産経新聞がウェブ版で2013年6月26日、こうした記事を配信した。「大阪で性犯罪が止まらない」――その書き出しからわかるとおり、テーマは大阪での性犯罪増加だ。ことに、「相手を押し倒す、抱きつく」「下着の下に手を突っ込む」など悪質な強制わいせつが増えている点をフォーカス、2012年は全国最多となる1251件が発生、13年もこれを上回る「過去最悪」のペースで推移し、すでに500件に達していると伝える。また強姦事件も、前年同時期比1.5倍の69件と続発、関係者は焦りを深めているという。
この記事にネット上では多くの反響があり、「さすが大阪」などといった揶揄や、民族差別的な書き込みが相次いだ。また橋下徹・大阪市長の過去の発言にからめ、市長自身に対し「風俗活用せよ発言の出番ですよw」などとツイッター上でからかう人も出た。
ところが、「性犯罪が止まらない」のは大阪だけではないようだ。
警察庁によれば、全国の犯罪件数(刑法犯の認知件数)はここ10年ほど急速な減少が続いている。ところがそんな中で、特に今回取り上げられたような強制わいせつは2008年以降全国的に横ばい、むしろ増加の兆しすらある。特に2012年は、前年を400件近く上回る7263件に達する。大阪が多いのは事実だが、東京933件、福岡436件、神奈川430件、埼玉418件と、大都市圏はどこも笑える数字ではない。ことに首都圏は、前年から2割以上増えた神奈川を始め、悪化が目に付く。
2013年に入っても愛知、福岡など増加傾向
2013年に入ってからもこの流れは続き、東京でも5月までに前年並みの357件、このほか愛知、福岡、滋賀などで前年を大きく上回るペースで強制わいせつが発生しており、各地の警察が住民への注意喚起に追われるほど。
ちなみに、今月だけでも新聞などでは、以下のような事件が報じられている。
「通行人の女性(45)に抱きつき、あおむけに倒れた女性の足を引っ張りケガをさせた44歳無職男が逮捕」(岩手県)
「女子中学生に抱きつく、キスをするなどした男性警部補(34)が逮捕」(北海道)
「電車内で高校2年生の女性の下半身を触る、自分の下半身を押し付けるなどした男性(38)が、DNA捜査の結果逮捕」(神奈川県)
「『虫がついているから取ってあげる』などと女児に声をかけ、人気のない場所で体を触った無職男性(26)が逮捕」(大阪府)
さらに悪質な強姦事件も、今年に入り増加が目立つ、東京では、5月までに大阪を上回る81件(前年同時期比1.5倍)が起こり、全国でも前年より2割近く多い。
現時点では明確な要因などは定かではないが、警視庁の担当者は「ウェブサイトを通じて防犯情報を提供するなど、対策に努めている」と話している。