どうする自民党、「お手並み拝見」
特殊法人等の政府の子会社は、ボロボロで税金食いというイメージでテレビなどで紹介されることが多い。税金食いは正しいが、必要以上に税金を食ったり、税金投入なしでも独占的な恵まれた立場で商売をしたりするので、財務体質はとてもいい。この印刷局のようにむしろよすぎるくらいだ。政府の子会社の財務体質がいいのは、官僚が天下りに備えているためだと筆者は睨んでいる。実際、印刷局も財務省ファミリーからの天下りで役員が構成されているし、その親密先にも天下りがいる。そうした天下りの米びつが優良な財務体質になっている。
公開されている財務諸表の細部を見るともっと興味深いことが見つかる。例えば、退職給与引当金だ。4300人で822億円。単純計算で一人当たり1911万円だ。民間大手の凸版の連結財務諸表をみると、従業員数4万7872人で、464億円。一人当たり97万円。ちょっと桁違いなので、何かの計算間違いかと思ってしまう。
民主党政権では、この印刷局から「埋蔵金」を「掘り出す」のではなく、再び国に吸収して国の一部門にして「埋め直す」という方針だった。まさに公務員天国の発想だ。
野党時代に鋭いところを突いた自民党が、政権の座についてどうするのか。お手並み拝見としよう。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。