「入山料7000円」プランも浮上?
一方、山梨県の横内正明知事、静岡県の川勝平太知事は登録直後、まるでこの流れに水を差すように富士山に「入山規制」を設ける考えを相次いで明らかにした。
富士山では登山客の増加に伴うゴミ問題などが深刻化しており、特に自身富士山清掃に携わっているアルピニストの野口健さんは、観光客増加による環境破壊を危惧し、富士山の世界遺産登録に「時期尚早」を唱える。この問題はユネスコの諮問機関・イコモスも懸念しており、なんらかの対策を取ることを求めている。
そのため、両県ではこの夏から試験的に「入山料」1000円を徴収し、観光客の増加を抑制する予定だ。もっとも京都大学の栗山浩一教授らによれば、1000円程度では訪問者は4%しか減らず、世界遺産効果による増加を見越すと「少なくとも1人あたり7000円の入山料が必要」だという。そのため両知事は、ともに「入山人数制限」など、大掛かりな対策に言及している。
しかし観光客減につながる入山規制策は、地元からの反対が根強い。2011年に入山料制度が提起された際にも、いったんは廃案を余儀なくされた。今夏からの試験的導入に際しても、積極派の静岡と消極派の山梨で議論が分かれている。
富士山は7月1日、「山開き」を迎える。