ツイッターに比較的高い頻度で投稿する大学生は、そうでない場合に比べてよりナルシシスティック(自己愛的)な傾向がある。一方で、ナルシシスティックな傾向を持つ大人は、「自虐風自慢」の場として、フェイスブックを好む――こんな研究結果がアメリカで発表されて、ネットで話題になっている。
自己愛性人格障害とソーシャルメディア利用との関係
「驚き!フェイスブックとツイッター利用頻度とナルシシスム(自己愛)が結びついていた!」との見出しで英TIME誌の電子版が2013年6月12日、伝えたところによると、研究は米ミシガン大学の研究チームによりおこなわれ、「Computers in Human Behavior」誌に掲載された。
研究チームの一人エリオット・パネク氏がTIME誌に対して話したところによると、中年の人々がFacebookを好むのは、彼らの社会人としての姿がすでに確立しているから。ソーシャルメディアを、社会人としての付き合いがある人たちから承認を受けるために使うため、実名が基本のFacebookがうってつけなのだという。
大学生はこれと対照的に、SNSを通じて自身の社会的な繋がりを広げようとし、広範な話題や問題についての意見を投げかける。そのため、匿名性もあり、見知らぬ人とも簡便に繋がれるTwitterのほうが都合がいいというわけだ。
記事によるとこの研究は、自己愛性人格障害とソーシャルメディア利用との関係をさぐるためにおこなわれた。自己愛性人格障害は広く、自分の価値を過信することとして定義される。その細かい特徴は、自己顕示癖、優越感、特権意識、虚栄心、うぬぼれの強さ、高圧的で、他人を出し抜こうとする、などだ。
研究者たちはこれら7つのうち、どれがソーシャルメディアの利用頻度ともっとも密接に関係しているかを、486人の大学生と93人の大人を対象に調べた。
「でも、ナルシストで何が悪いの?」
調査を通じて、ある特定のナルシシスティックな特徴が、参加者の年代と、彼らの好むソーシャルメディアとに依存していることがわかった。
研究概要によると「大学生にとっては、ツイッターへの投稿は自己愛性人格の優越感の部分との関係があり、一方で、Facebookへの投稿は自己顕示の部分と関係があることを示唆している」。
中年はこの逆で「Facebook(Twitterではない)を使う人は、仲間に対して優越感を示す手段と見られる」。その上、パネク氏によると、リーダーシップ的な性格とフェイスブックに費やす時間との間には、負の相関関係が見られるという。フェイスブックを使いすぎる人はリーダーとして不適格ということらしい。
この研究結果に対しては、日本のネットでは「知ってた」「否定しませんよ」という反応がほとんどだ。ただ、「でも、ナルシストで何が悪いの?」という疑問も出ている。
これについて、TIME誌の記者は「ナルシシスムの好ましい点としては、高い自己評価と低い不安感につながる」としながらも、「密接で持続的な関係構築を阻害する。もっと悪いことには、かなりのレベルでナルシシスティックな人々は、批判に対してより攻撃的に反応しがちだし、他人を踏み台にして自分を良く見せようとする」と主張していた。