八甲田山で散発的な火山性地震 「大震災後の火山噴火」が気になる

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   青森県の八甲田山で、東日本大震災後に火山性地震が増えていると、気象庁の火山噴火予知連絡会で報告された。常時監視が必要とされる全国47火山の対象外である八甲田山の活動が同会で取り上げられるのは、異例のようだ。

   震災後、地震活動が活発した火山は少なくない。すぐに噴火につながるわけではなさそうだが、油断はできない。

江戸時代の宝永地震の49日後に富士山噴火

地震活動が活発化している八甲田山
地震活動が活発化している八甲田山

   2013年6月18日に開かれた火山噴火予知連絡会で、八甲田山周辺を震源とする地震の増加が取り上げられた。2月~6月10日にかけて、山頂付近の深さ1~11キロを震源とする火山性地震が散発的に発生しているという。また2月以降、小さな膨張性の地殻変動も見つかった。八甲田山が同会で議題に上がるのは初めてだという。

   国内には110の活火山がある。火山噴火予知連絡会は活火山を、「概ね1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」と定義しており、「最近5000年に7回の噴火活動」(気象庁)があった八甲田山もこれに含まれる。一方で同会は、近年噴火活動を繰り返していたり、過去約100年以内に火山活動の高まりが認められていたりする47火山を選び、24時間体制で常時観測を続けている。この中に八甲田山は含まれていない。活火山のなかでも「特段注意が必要」との位置づけではないようだ。

   とはいえ、近年も活火山であることを裏付けるような事故が起きていた。1997年、山麓の田代平で、滞留していた炭酸ガスの影響で訓練中の自衛隊員3人が死亡。2010年には、温泉で知られる酸ケ湯付近で硫化水素が発生し、山菜取りに来ていた女子中学生が亡くなっている。

   同会会長の東京大学名誉教授、藤井敏嗣氏は、大規模地震により火山活動が活発化すると指摘している。NHKのウェブサイトに寄せた2012年7月3日付のコラムで、東日本大震災のような巨大地震により震源域周辺の地殻内の「応力場」が変化するが、これにより「地殻内に存在するマグマだまりに影響を及ぼし、火山噴火を誘発する危険性がある」と説明する。

   藤井氏が例示したのが、江戸時代の宝永地震と富士山宝永噴火だ。1707年10月28日に遠州灘沖と紀伊半島沖で同時発生した宝永地震の49日後、富士山が「歴史の中でも珍しいほどの激しい爆発的噴火」を起こしたという。

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