子会社がディッシュ支持
ただ、ここに来てソフトバンクの米国戦略に影を落とす事態も生じている。スプリントの子会社である米高速無線通信会社クリアワイヤの経営陣が、自社に株式公開買い付け(TOB)を実施しているディッシュを支持する立場に回っているのだ。
クリアワイヤはスプリントが50%強出資する上場子会社で、昨年12月にスプリントの完全子会社になることで合意していた。クリアワイヤは高速通信に使える周波数を豊富に抱え、ソフトバンクはスプリント買収によって、この周波数帯を活用し、スプリントとともに米国で高速通信網を強化することを狙っていた。
今年1月にディッシュがクリアワイヤに対抗買収を提案。現状ではスプリントが1株3.40ドル、ディッシュは1株4.40ドルを提示し、ディッシュの方が3割高いため、クリアワイヤ経営陣はディッシュ支持に回ったというわけだ。スプリントがクリアワイヤ株の過半数を押さえているとはいえ、ディッシュのTOBが成功して大株主としてクリアワイヤへの発言権が強まれば、ソフトバンクの事業展開の足かせにもなりかねない。