オリジナリティーよりも市場の要求にこたえる
アップルは次期iPhoneに関して正式なコメントをしていない。2012年9月に発売されたiPhone5は、それ以前と比べると爆発的なヒット商品とはならなかったとも言われている。「iPhone神話」が崩れるのか、それとも新型が消費者に強いインパクトを与えられるか。
角川アスキー総合研究所主席研究員の遠藤諭氏はJ-CASTニュースの取材に、「廉価版は必須」と話した。世界市場でのiPhoneのシェアは20%程度と言われており、日本での支持率の高さを考えると割合はかなり低い。実は中国をはじめとする新興の大型市場で人気が高いのは低価格スマホで、これこそがiPhoneの真の「ライバル」になっているのだ。
例えばインドでは、スペックはiPhoneに劣るものの、1万円で買い切りのスマホが人気。これに対抗するためにはアップルも廉価版を出せばよい。一度iPhoneを買ってもらえば、「iTunes」によるコンテンツ購入を継続することもあって、新型iPhoneが出るたびに買い換える可能性が高くなるためだ。「新興国市場を先手必勝で取りに行く」うえで欠かせないアイテムになると、遠藤氏は強調する。
廉価版ニーズはほかにもある。角川アスキー総研のデータによると、「iPod Touch」の所有台数はiPhoneの60%程度ある。つまりiPhoneより安い価格で同じOSで動く端末を購入する層が相当数いる証拠だ。廉価版を出せば、この層が動く可能性がある。
では「大画面版」はどうなるか。遠藤氏は、米グーグルのOS「アンドロイド」機種のうち4.7インチ以上のディスプレー搭載モデルが人気なことからも、アップルが追従するとみる。「個人的には今のサイズ感を守ってほしいですが、オリジナリティーの問題よりも市場の要求にこたえざるを得ないのかもしれません」。