問題解決を「第三者」に丸投げ?
翌日の事務局はてんやわんやの状態となった、ファンからの電話が相次ぎ、一時は回線がパンク状態になった。当然のごとくメールも時間を追うごとに増え、1日で抗議は4000件を超えた。
大リーグのダルビッシュ有もツイートした。
「知らないことはないでしょう。知らない方が問題」
14日の12球団代表者会議で、コミッショナーは経過説明し、第三者委員会を設置して真相究明をすることになった。
コミッショナーはプロ野球界の諸問題を裁定する権限を持つ。委員会設置は、いわば最高裁が自らの職務を全うせず、「第三者」に問題を調べてくれ、といっているようなものではないか。問題丸投げで時間を稼ぎ、嵐が過ぎ去るのを待とうという魂胆に見えて仕方がない。
加藤コミッショナーは外務官僚で駐米大使を長く務めた人物。その官僚気分は抜けないらしく、以前から態度が横柄といわれてきた。年俸2400万円で交際費500万円ほど。専用車と秘書がつく。それで事務所には週1、2回来るだけ。
代表者会議の後で再び会見に臨んだ加藤コミッショナーは、相変わらず官僚口調で保身に徹底した。
「失態をおわびしたい」
最初の会見の報道に動揺したのか、珍しく過ちを認める単語を使った。苦渋の判断だったのかも知れない。しかし、その後の話は、居直る言葉を並べた。
「ガバナンスを強化したい」
「野球界発展のため邁進したい」
すでに、このすり替えたボールの件は、コミッショナーに随時報告が届いていたことが明らかになっている。つまり、裁定者がウソをついたことが明白な状況なわけで、問題そのものの「すり替え」は許されないだろう。
(スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)