いわくつきのリチウムイオン電池
三菱自がリコールを届け出たリチウムイオン電池は、GSユアサが主体となり、三菱商事と三菱自が出資する「リチウムエナジージャパン」が製造している。過熱トラブルで運航停止を余儀なくされ、完全な原因究明ができないまま改善策で運転を再開した最新鋭旅客機「ボーイング787」のリチウムイオン電池もGSユアサ製だ。
三菱自に供給するリチウムイオン電池とボーイング向けは生産ラインが異なるが、安全性が最優先される飛行機や自動車だけに、過熱事故が起きた商品のイメージダウンは、改善策を講じようとも避けられまい。自動車メーカー関係者の間では「いわくつきのGSユアサと組んでしまった三菱自は不運としか言いようがない」と、同情の声が漏れる。
無論、EVなどの技術開発と市販に初期トラブルはつきものだが、「その点、世界で最初にEVを大量生産した日産はリーフで大きなリコールなど起こしていない。その技術力、生産管理の高さは評価に値する」(自動車メーカー関係者)という。
その日産が「企画からかかわった初の軽自動車」と力を込める三菱自との共同開発車が、発売前からリコールとは皮肉だ。日産の志賀俊之最高執行責任者(COO)は6日の発表会見で「異例な発売前のリコールは残念だ」と、本音を漏らした。いずれにせよ、三菱自のリコール続きはイメージダウンに他ならず、日産はとばっちりを受けた格好。三菱自、日産とも新型軽の先行受注が1万2000台ずつあり、当初計画を上回る出足を見せたが、果たして狙い通り、ダイハツ工業、スズキ、ホンダの3強に迫れるか。出鼻をくじかれた共同開発車の真価が問われるのはこれからだ。