企業の格や財界活動歴でフルイにかける
代わって浮上したのが川村氏だ。日立は2013年3月期の連結売上高で東芝の1.5倍を上回る約9兆円と、ライバルに大差をつける好調ぶり。不振が続く電機業界で重電分野へのシフトを鮮明にして同社を成長軌道に乗せた同氏の経営手腕も評価は高い。あえて難点を上げれば73歳と高齢である点だが、後任指名権を持つ米倉会長は「後任には年齢を問わない」と明言している。
以前から産業競争力会議などで積極的な政策提言を続けるコマツの坂根氏も下馬評が高かったが、今年4月に相談役に退いており、慣例の「会長か社長」には該当しなくなったほか、「キヤノンの御手洗富士夫氏がそうだったように、やはり企業の「格」として軽量すぎる」(財界筋)との指摘もある。大宮、友野、内山田氏らはまだ財界経験が少ないことから、「米倉氏の念頭にはない」(大手エネルギー会社首脳)ようだ。
とはいえ、現段階では「米倉氏の頭の中はまったくの白紙」(同)とされる。経済界には製造業ではないものの、現職の経団連副会長で、2010年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で共同議長を務めるなど豊富な国際人脈を誇る三菱商事の小島順彦会長(71)=同=を推す声もあり、夏以降本格化する後任候補の調整は波乱含みだ。
※米倉弘昌(76)=1937.3.31
川村隆(73)=1939.12.19生
坂根正弘(72)=1941.1.7生
大宮英明(66)=1946.7.25生
友野宏(67)=1945.7.13生
佐々木則夫(64)=1949.6.1生
内山田竹志(66)=1946.8.17生
小島順彦(71)=1941.10.15生