「血で結ばれた同盟」とも言われた中国と北朝鮮の間のすきま風が目立ち始めている。核開発で周辺各国をけん制したと思えば一転、韓国との対話を表明。態度を軟化させたと思えば、北朝鮮側は参加メンバーの「格」をめぐって会談の中止を一方的に表明した。一連の混乱ぶりに、中国のネット上では北朝鮮を非難する声も散見される。ネットだけではなく、政権内部にも「北朝鮮を資産ではなく『負債』」という見方が広がっているという。
中国は南北協議を歓迎していた
北朝鮮の祖国平和統一委員会は、2013年6月13日朝、国営朝鮮中央通信を通じて「会談に少しの未練もない」とする声明を発表。2日連続で板門店の連絡用電話にも出ない状態が続いており、関係改善は遠のいた形だ。中国外務省は南北協議を歓迎するコメントを出していただけに、今回の北朝鮮側の対応は改めて中国の不興を買う可能性もある。
それ以前に、中国と北朝鮮の間の関係は冷え込んだ状態が続いている。例えば5月上旬には、中国銀行など4大国有銀行が北朝鮮への送金業務を停止していることが明らかになっている。北朝鮮のミサイル発射や核実験に業を煮やした中国政府の独自制裁措置の一環だとみられている。
5月中旬には、中国漁船が北朝鮮に約2週間にわたって拘束され、解放後に船長は「殴られた上に、船の燃料を盗まれた」と証言。中国国民の北朝鮮に対する感情は急速に悪化した。
北朝鮮は、中国に対する対話姿勢を見せてもいる。例えば崔竜海(チェ・ヨンヘ)人民軍総政治局長は5月23日、北京で中国共産党の最高幹部と会談して周辺国との対話を進めたい考えを伝えている。
米中会談で習近平主席「北朝鮮の好戦的な態度にいらだち」
だが、なかなか両国の溝は埋まらないようだ。
米NBCテレビによると、6月7日と8日(現地時間)に米カリフォルニア州で行われた米中首脳会談では、オバマ大統領と習近平国家主席が、北朝鮮の核が「アジア太平洋地域と米国の両方に対して脅威で、取り除かれなければならない」という点で一致。
「習近平主席は、北朝鮮の好戦的な態度にいらだちを募らせている」
とも伝えた。中国が北朝鮮に信頼を寄せていない様子がうかがえる。
韓国もこの傾向を把握しているようで、朝鮮日報によると、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は6月11日の国会答弁で
「中国の上層部の間では、北朝鮮を資産ではなく『負債』とする認識が広がっている」
とまで述べている。
中国外務省は南北協議が中止になったことに対する公式コメントを現時点では発表していないが、協議中止を伝える中国のニュースサイトのコメント欄には
「北朝鮮は信頼できない」
といった声が多く、ネット上に限っては「血の同盟」は見る影もない。