マレーシアを拠点とする格安航空会社(LCC)のエアアジアは2013年6月11日夜、全日空(ANA)の親会社にあたるANAホールディングス(ANAHD)と合弁で運営している「エアアジア・ジャパン」について声明を発表した。
声明では「合弁事業の解消を含めあらゆる方法を検討」と明言。エアアジアが出資を引き上げる可能性もある。
ウェブサイトの使いにくさなどで後れを取る
エアアジア・ジャパンの大型連休(4月26日~5月6日)の搭乗率は国内線が67.6%で国際線が61.2%。同じくANAが出資するピーチ・アビエーションは国内線91.3%、国際線84.1%で、日本を拠点とするLCCの中でも劣勢だ。予約に不可欠なウェブサイトを十分に日本向けにカスタマイズ(手直し)しておらず「使い勝手が悪い」との声も相次いでいた。
この業績不振はマレーシアのエアアジア本体の足を引っ張る形にもなっており、同社の13年1~3月期の決算によると、日本部門は6700万リンギ(約21億円)の純損失を計上しており、「提案されたビジネスプランは軌道に乗らなかった」との記述もある。
エアアジアが今回出した声明では、
「成田空港の利用方法をはじめとする経営方針の違いについて協議を重ねてまいりました」
「コスト管理が十分にできなかったため当初の事業計画の変更を強いられてまいりました」
とあり、着陸料の安い地方空港への就航を望んでいたエアアジア側と「ハブ」としての成田空港の役割を重視していたANA側との立場の違いがうかがえる。
ANA主導の経営にも不満?
さらに、
「CEO、CFOを含むエアアジア・ジャパンの経営陣は主に全日本空輸株式会社より任命を受け同社から就任したメンバーで構成されております」
との記述もあり、エアアジア側はANA主導の経営に不満を持っていたとも読める。
その上で、出資を引き上げた上で新たな合弁先を探すことも示唆した。
「エアアジアでは日本市場について現在も前向きにとらえており、取り組みを継続いたします。LLC事業のさらなる成長を図るために、合弁事業の解消を含めあらゆる方法を検討しております」
その場合、現行の「エアアジア・ジャパン」の運航はANAが引き受ける形になり、LCCブランドが「ピーチ」と一本化される可能性も出てきた。
ANAHDは6月10日時点で、
「当社が発表したものではなく、現時点で決定している事実はありません」
とのコメントを発表している。