「賞味期限切れ」説が繰り返しささやかれてきた日本維新の会の伸び悩みが、世論調査でも明らかになってきた。特に、支持基盤としてきた近畿地方での支持が落ち込んでいることも分かり、体制の立て直しが急務だ。そんな中でも橋下徹共同代表(大阪市長)のいわゆる従軍慰安婦をめぐる発言に反発して会派離脱の方針を固める議員が出るなど、都議選や参院選に向けて「いばらの道」が続きそうだ。
女性の投票意向が7%→2%に
読売新聞が6月8日から10日にかけて行った電話世論調査によると、13年7月に行われる参院選の比例の投票先として日本維新の会を選んだ人は前回調査(5月)比3ポイント減の5%。5月までは自民党に次いで2番目に支持が多かったが、民主党(7%)に抜かれて公明党と同じ3位に後退した。
ここまでは、これまでの他社の調査でも同様の傾向が出ていた。だが、今回の読売調査では、維新の主な地盤にあたる近畿地区でも調査しているのが特徴だ。やはり維新に投票する人の割合は下落傾向で、前回比4ポイント減の13%。自民党(47%)に次いで2番手だ。石原慎太郎共同代表のお膝元にあたる東京では、前回比3ポイント減の5%だった。
読売調査では男女別にも聞いている。男性で維新の会に投票すると答えた人は前回と同じ8%だったが、女性は5ポイント減の2%。橋下市長の一連の発言が「女性蔑視」などと批判されたことが尾を引いている可能性がある。
「みんな」にも抜かれる
朝日新聞が6月8日から9日にかけて行った調査でも維新は不調で、維新を比例投票先に選んだ人は前回5月調査比2ポイント減の5%。民主は1ポイント減の7%、公明が1ポイント減の5%、みんなの党が1ポイント増の6%。「第3極の中では首位」という立場も明け渡してしまった形だ。自民党は4ポイント減の45%だが、「一人勝ち」が続いていることには変わりない。
そんな中、6月11日には「大阪維新の会」の冨岡朋治大阪市議(71)が維新市議団を離脱する意向を固めたことを各紙が伝えた。橋下氏の発言に反発したとみられ、これまでは「日本維新の会」へのバナーが張ってあった冨岡氏のウェブサイトも現在は閉鎖状態。アクセスしても
「只今、工事中。しばらくお待ちください」
と表示されるだけだ。「お膝元」から離脱者が出るあたり、前出の読売調査で示されたような維新の「地盤沈下」を裏付けている。