人気漫画「進撃の巨人」の作者ブログが、大量のコメントで荒らされる事態になっている。作品に軍国主義メッセージがあるかなどを巡って、日本語と韓国語で激しい応酬が繰り返されているのだ。
「進撃の巨人」は、2013年4月7日にテレビアニメが始まり、韓国でもほぼ同時期に、ケーブルテレビやネット配信で流された。今回の論争は、日韓のメディアがそのメッセージ性について取り上げたことで始まった。
韓国語などで作者罵倒の書き込み
まず、韓国の一部ネットメディアなどが2013年5月下旬、作品には日本の軍国主義を想起させるなどと記事を書いた。人を食う巨人に対抗して壁を築き、「戦わなければ生き残れない」と人々を鼓舞するストーリーがそれに当たるというのだ。また、日本でも、日経ビジネスが6月6日、韓国人ITジャーナリストのコラムをサイト上に載せ、その中で、韓国では同様なメッセージがあると分析する向きもあると紹介した。
すると同じ6日に、作者の諫山創さんの公式ブログに、コメントが大量に書き込まれ始めた。
真相はよく分からないが、アニメの違法動画を韓国語の字幕で見られないかという書き込みに批判が相次いで、コメント欄が炎上したともされている。「死ね」などと作者が罵倒されたり、韓国語の誹謗・中傷があったりして、10日夕までに3000件ほども書き込まれている。
韓国語では、軍国主義への反発からか、「伊藤博文が殺されたのは、日本の自業自得じゃないの」といった過激な書き込みもあった。
また、翻訳機にかけたような書き込みは、ネトウヨが韓国人になりすましているからだといった指摘があり、それに反論も出て、応酬が続いている。
漫画を出している講談社の広報室は、韓国では、アニメが放映されてから社会現象にまでなっていると明かした。
作者自身はさほど気にしていない?
「韓国の東亜日報などの3大新聞にアニメが取り上げられ、最大手検索サイト『NAVER』では、2日間にわたって、『進撃の巨人』が全ジャンルの検索ランキング1位になったと聞いています」
一方、軍国主義のメッセージ性があると韓国メディアから指摘されたことについては、「そんな記事が出ているんですか。こちらにはまったくそんな反応が来ていませんので、韓国の状況はよく分からないです」とのことだった。
作者の諫山創さんがメッセージ性を意識していたかどうかには、「諫山さんからは、そんな話を聞いたこともありません」とした。読み方の自由はあるが、作品に出ていることがすべてだとしている。
諫山さん自身は、こうした炎上もそれほど気にかけていないらしい。2013年6月8日のブログでは、「アクセス数がすげえええええええええ!!おかげさまで好評いただいております!これを利用 しない手は無いでしょう!鉄は熱いうちに打つべし!!」と前向きな書き込みをしている。
なお、「進撃の巨人」のアニメは、世界各国でも反響を呼んでいるようだ。
韓国のほか、中国、アメリカ、フランスでもネット配信などがされ、講談社によると、中国では1350万アクセス、アメリカでは100万回再生を記録した。今後は、さらに増えて、イタリア、ドイツや東南アジアでも流される予定だそうだ。