「無印良品」のブランドで知られる良品計画が2013年6月7日、ネット上で展開されているキャンペーンに対して反論する異例の文章をウェブサイトに掲載した。
キャンペーンは、フカヒレの原料になるヨシキリザメが絶滅することを懸念する消費者が、同社の「ごはんにかける ふかひれスープ」の販売中止を求める内容。無印良品の文章では、キャンペーン側が掲げる根拠にひとつずつ反論している。
これを受け、キャンペーンサイトのコメント欄には、キャンペーンを批判する声も出始めた。
フカヒレスープで地球環境に影響?
フカヒレスープの販売中止を求める活動は、13年3月頃にキャンペーンサイト「change.org」で始まり、すでに6万人以上が賛同したとされる。サイトでは、キャンペーンの趣旨を、
「フカヒレスープの需要により殺害されるサメの数はなんと年間約1億匹。このままでは20年以内にすべてのサメが海から姿を消してしまう可能性があるとも言われています。同社の利用するヨシキリザメについても国際自然保護連合(IUCN)により『準絶滅危惧種』として登録されています」
「サメは食物連鎖の最上位にあり、その減少は海洋エコシステム全体に深刻な影響を与えます」
などと説明。フカヒレスープがサメを絶滅させ、地球環境に大きな影響を与えるとの主張だ。
これに対して「無印」の文章によると、製品に使用されているフカヒレの70%以上が宮城県の気仙沼港をはじめとする国内産で、3割がスペイン産。気仙沼港については、
「主にマグロ延縄漁の『混獲魚』として水揚げされたものであり、その混獲されたサメは水揚げされたのち、その身は各種練り物製品へ、また軟骨は健康食品、皮革は工芸品等にと、さまざまなものへ利用されています」
と、マグロ漁をやめない限りサメはとれ続けることを説明。サメの中でも、フカヒレだけを利用している訳ではないことも強調した。スペイン産の入手方法も同様だという。
「日本の法令によっても何ら漁獲規制のないことは確認が済んでおります」
また、キャンペーンが指摘する「準絶滅危惧 (NT)」という区分は、比較的優先順位が低い位置づけだと言うことを指摘し、
「日本の法令によっても何ら漁獲規制のないことは確認が済んでおります」
とした。なお、環境省の「生物多様性センター」のウェブサイトによると、「準絶滅危惧 (NT)」は、
「現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」
と定義されている。
これらの理由から、無印では
「生産者である宮城県の気仙沼を中心として行われてきた伝統的地場産業の一助となることからも、販売を継続することが妥当」
とフカヒレスープの販売を続行することを断言している。
キャンペーンサイトでは、現時点では無印側に対する反論は確認できないが、コメント欄には、
「あなた方の主張は、既に破綻しています」
といったキャンペーンに批判的な声が散見される。