国内で地上デジタル放送(地デジ)への完全移行が完了してから間もなく2年。今日では、さらに先を見越して高精細な映像技術が研究されている。
フルハイビジョンの16倍の解像度となる「スーパーハイビジョン」は、2020年にも本放送開始を目指す。だが十分な番組コンテンツがそろうのか、視聴者がそこまで高画質な番組を見たがるか、など不透明な部分も残されている。
サッカーW杯や五輪開催に間に合わせる
総務省が2013年5月31日に開催した「放送サービスの高度化に関する検討会」で、次世代の高画質放送に関する具体的なスケジュールがまとめられた。現行フルハイビジョンの4倍の画素数となる「4K」は2014年、より高画質な「8K」は2020年に、それぞれ商用サービスを本格化する予定という。「8K」はスーパーハイビジョンとも呼ばれる。2014年はサッカーワールドカップ、16年にリオデジャネイロ五輪とビッグイベントが目白押しで、2020年の五輪は東京が招致を目指している。「東京五輪」に間に合うように、日本が世界に先駆けてスーパーハイビジョンの開発を成功させたいとの思いがありそうだ。
「4K」はすでに、主要電機メーカーがテレビ受像機を発売している。ソニーの最新モデルは55型で50万円程度。「初代機」である84型・168万円と比べると価格はずいぶん下がったが、普及を考えるとまだ高額だ。それでも、調査会社GfKマーケティングが6月3日に発表した「薄型テレビ市場動向」によると、50インチ以上の大画面テレビの需要は伸びており、2013年5月では数量で前年比18.3%増を記録したという。同月の4Kテレビの販売数量も前月比5.4倍と急成長を記録。メーカーにとっては価格下落と需要減に悩まされているテレビ販売で明るい兆しが見えてきたかもしれない。
ここで思い出すのが「3Dテレビ」だ。国内で2009年に公開された米映画「アバター」が火付け役となり、3D対応の映画が次々と制作される一方、電機メーカーは急ピッチで3Dテレビを市場に投入し、家電量販店では一時3Dテレビが売り場の主役となった。だが3Dで見られるテレビ番組がなかなか増えず、テレビ受像機の価格も一般の薄型テレビに比べて割高。「どうしても3Dテレビが欲しい」との消費者ニーズが高まらず、市場の活性化にはつながっていない。