「精度の点ではまだまだ利がある」
もっとも、こうした流れで「カーナビ」全体が危機に瀕しているのかというと、答えはNOだ。矢野経済研究所の試算(2012年)では、カーナビ市場は中~高価格機がスマホなどとの連携強化などを進めることで、むしろ今後も成長を続けることが見込まれている。
ただ、低価格帯の持ち運び可能カーナビ(PND)はあおりをまともに受けている。数万円前後で購入可能なPNDは2000年代、カーナビ界の新潮流として旋風を起こし、一時は市販カーナビ市場で多数派を占めた。ところが直後のスマホの普及で、売り上げは「急ブレーキ」。前述の予測では2015年には、出荷台数が11年の7割にまで落ちこむとされる。2012年7月には、ソニーがこの市場からの撤退を決めた。
とはいえメーカーも黙ってこの状況を見ているわけではない。パナソニックは2013年6月12日、PND「Gorilla」の新型機種を発売する。位置情報の測位に従来のGPSに加え、ジャイロ、そして準天頂衛生「みちびき」からの情報を採用した。同社の担当者は、
「測位の精度の面では、基地局を経由するスマホに比べ、こちらがまだまだ利があると思っている。今回の製品ではその精度をさらに向上させており、なんとか付加価値をアピールしていきたい」
と語っている。