除染作業で「皮はぎの刑」に遭う阿武隈高地【福島・いわき発】

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   ここ2回書いている阿武隈高地の話の続き。5月2日にいわき市から川内村、田村市へと山里を巡った。ウイークデーだったので、川内村と接するいわき市川前町では、道沿いの住宅で除染作業が行われていた。川内村に入ると、除染作業の終わった住宅が目についた(=写真)。田村市でも住宅の除染作業が進められていた。


   裏に山をかかえた住宅が道沿いにポツリポツリと現れる。山の木々が家から20メートルにわたって剪定され、林床の落ち葉がかきとられて、きれいになっている。男性のヘアスタイルにたとえると、「震災刈り」のようなあんばいだ。裏山がそうなら、庭の表土ははがされ、新しい土が入れられたはずだ。その作業で出た枝や土はどこへ行ったのか。


   川前ではところどころ、道端や家の庭の隅に青いフレコンバッグが置かれていた。作業現場の一角では、フレコンバッグに立ち入り禁止の札がついたロープが張られていた。田村市に入ると、フレコンバッグは黒色に変わる。除染で出たものはフレコンバッグに詰められ、自分の家や土地に仮置きされているようだった。


   いわき市の、わが行政区でも原発事故から8カ月後、区内会と子どもを守る会の役員などが参加して除染作業が行われた。そのときの経験からいえば、土砂の線量は散らばっている状態では低く、集めてごみ袋に入れれば高くなる。


   「震災刈り」の裏山や庭のフレコンバッグを目にするたびに、「除染」は「貯染」、あるいは「棄染」「離染」のことか。わが心身をはぐくんだあぶくまは今、悪いことをしたわけでもないのに「皮はぎの刑」に遭っている。そんな思いに沈んだ。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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