在日米国商議所と欧州ビジネス協会が医療政策で提言 在日欧州企業も初参加

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   在日米国商工会議所(ACCJ)と欧州ビジネス協会(EBC)は2013年5月31日記者会見し、合同で作成した「医療政策白書」を発表した。健康寿命を延ばすため、重症になってからの治療より、予防や早期発見、早期治療を重視すべきだとして、36分野で156の具体的な提言をしている。ACCJは10年、11年もこうした提言をしているが、今回初めて在日欧州企業も参加した。

電子カルテや医療DBの構築も

   共通の問題としては情報技術入の後れ、体外診断薬など。国民の7割以上が賛成しているのに電子カルテの導入が後れ、病医院間の相互利用も進んでいないとして、電子カルテや遠隔医療、医療データベースなどの構築を提言している。また、体外診断薬の認可に時間がかかりすぎ、診療報酬も低く、精度と無関係なため、世界的に普及している高精度診断薬が日本で使われていないと、改善を求めている。

   個別の提言は多岐にわたっている。日本人女性の乳がんや子宮頸がん検診の受診率は欧米に比べると非常に低いので、両検診の必須化をめざす。

   肝がんの8割はB型・C型肝炎ウイルスの感染者だが、国民の半数はウイルス検査を受けておらず、職場検診などでウイルス検査を受けやすくする必要がある。また、200万人もいるC型肝炎感染者のうち治療を受けているのは2割だけで、多くは症状が出てから受診する。感染が知られないような個人情報の保護、米国で展開されたような肝炎啓発活動が重要だ。

   交通事故の原因のほか、脳卒中や心臓病につながる睡眠時無呼吸症候群は300万人以上の患者があると見られるのに治療中は25万人。診療報酬点数を上げて検査を普及させるなどが望ましい。

   足の血管の動脈硬化である末梢動脈疾患は、歩行困難だけでなく脳卒中や心臓病にもつながる。患者はやはり300万人といわれている。足首と腕の血圧測定で簡単に分かるこの測定を定着すべきだ、との提言だ。

   白書は厚生労働省や都道府県、国会議員などに配付される。また、ACCJのホームページで見ることもできる。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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