大ヒットマンガ「進撃の巨人」のコミックス最新11巻限定版は、購入予約をしていたにもかかわらず、企画そのものが中止になり発売されないことになった。「進撃の巨人」のDVDオリジナルアニメが同梱されるはずだったのだが、アニメの製作が間に合わなかったようだ。
アニメのテレビ放送は2013年4月から始まっていて、映像のクオリティーが非常に高く面白いと大評判だが、製作スタッフの数が足りず、一部地域で未完成のものが放送されるという「事故」が起きた。ネットでは、「そのうちテレビ放送でもトラブルが起きるのではないか」という心配の声も出ている。
「現状のスケジュールもかつかつなのに・・・」
オリジナルアニメが同梱されるはずだった限定版は2013年8月9日に発売が予定されていた。講談社は公式ホームページで13年6月1日に謝罪文を掲載し、予約していた人は予約店に問い合わせて欲しいと呼びかけた。企画が中止になったのは、オリジナルアニメの製作が遅れたためのようで、アニメの質をさらに向上させ、13年12月発売予定の12巻に同梱すると説明した。8月に発売する11巻限定版には代わりにシールとカードが付くことになるのだという。
ネットでは、オリジナルアニメの製作が間に合わないのは分っていたことだ、といった声が多く、
「現状のスケジュールもかつかつなのに、OVAまで手が回るとは到底思えない」
「延期した後でやっぱ無理でした、ということにならなければOKです」
などといった書き込みが掲示板やブログに出ている。
「進撃の巨人」は諫山創氏原作のマンガで、「別冊少年マガジン」2009年10月号から連載が始まった。コミックは10巻まで出ていてトータルで1千数百万部を売る大ベストセラーになっている。マンガの舞台は1800年代のヨーロッパやアジアを連想させ、人間によく似た裸の巨人が人間を襲撃し捕食している世界になっている。人間は高く強固な壁を作り、その中に逃げ込んで生活していたが、巨人はその壁を破って中に進入するようになった。そうした巨人との戦いを中心にマンガは描かれている。
原作マンガからは想像できない細部に渡る緻密な描写
13年4月からアニメ化されると、これが評判となりDVDの予約も殺到。ネットショップ「アマゾン」でもブルーレイ、DVD予約販売ランキングでトップになった。アニメが受けた理由は、内容が面白いのはもちろんだが、予想を遥かに上回る映像クオリティーの高さで、原作マンガからは想像できない細部に渡る緻密な描写だった。ファンからは「頑張りすぎ」といった声まで出たのだが、13年4月21日に信じられない出来事が起きる。
浅野恭司総作画監督がツイッターで、
「アニメ『進撃の巨人』」に興味のある現役のアニメーターさんはいらっしゃいますでしょうか?皆様のお力をお貸しください。よろしくお願い致します」
とスタッフ募集をしたのだ。作画スタッフが足りていないのかというフォロアーからの質問に対し、
「うちだけではなく、業界全体は足りないかもです。作品ごとに人手が多いと非常に助かりますね」
と回答した。そして「事件」が起こる。第5話放送分で地域によって映像表現やクオリティーが異なっていて「手抜きではないか?」などと批判が出て、放送地域ごとの動画を比較する作業もネットで進められた。
公式ホームページに13年5月8日、説明と謝罪
同アニメの公式ホームページには13年5月8日、説明と謝罪が掲載されることになった。「手抜き」と騒がれる放送を行ったのは福岡、北海道、大分の3局で、理由としては、
「制作上及び放送局納品期限の都合により、このような放送形態となりました」
ということだった。つまり、納期に間に合わせるため未完成のものを渡さざるを得なかったということで、ギリギリの状態で製作が進行しているというわけだ。
これ以降ネットでは「次の放送回は完成品なのか?」「放送が止まるのではないか?」などといった不安の声も出るようになった。ファンの中にはクオリティーの高い素晴らしいアニメなのだから、その質を落とさないために放送の間を置くこと認めてもいいのではないか、などと考えている人もいる。「進撃の巨人」は13年9月まで放送が予定されている。