サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会アジア最終予選の日本‐オーストラリア戦が行われる2013年6月4日、東京・渋谷駅前スクランブル交差点周辺が「封鎖」される。
渋谷駅前では事あるごとに大勢の若者が集まってお祭り騒ぎが繰り広げられ、トラブルが起こり問題視されてきた。今回の措置に悲しむサポーターは少なくないようだが、周辺からは「封鎖歓迎」の声も聞こえてくる。
「鬱陶しいから賛成」「警察空気読めないな」
今回封鎖されるのは、スクランブル交差点とセンター街の一部区域で、区域内に用事がある歩行者以外の通行が制限される。試合終了予定の21時頃から機動隊員ら数百人を設置して迂回路に誘導し、通常はできる斜め横断を禁止する。
W杯後の騒ぎをよく思っていなかった人は多く、インターネット上では「グレイト!然るべき場所で騒げよ」「見ていて鬱陶しいから賛成」など、今回の措置を歓迎する声が上がっている。
一方、試合後に騒ぎたかった人も多いようで、「警察も空気読めないな…めっちゃ盛り上がるのに…」「どこまで若者を去勢した世の中にしたいんだよ W杯決まった瞬間に騒がせてくれないって」「日本はどんどんつまらない国になっていくなぁ」と、残念がっている書き込みもある。
過去に商品の棚が倒されそうになったことも
サポーターや視聴者は賛否両論といったところだが、実際に「封鎖」の影響を受ける人々はどう思っているのだろうか。周辺の店舗などを回って話を聞いた。
歩行制限区域内に店を構えるアクセサリーショップは、通常22時30分まで営業しているが、4日は20時30分から21時には閉店を考えているという。過去に渋谷駅前の「お祭り騒ぎ」で、店の前に並べている商品の棚が倒されそうになったこともあるといい、店員の安全も考えての措置だそうだ。スタッフは「やっぱり騒動はこの辺では評判は良くない。個人的には楽しむのはいいと思うけど、度を越した人がいると輪をかけて周りが盛り上がっちゃうから…」と苦笑していた。
同じく制限区域内の24時間営業の飲食店は、21時以降も通常通り営業するという。こちらは「封鎖されるのが初めてだからどういう状況になるのかわからないけど、渋谷はもともと若者が多いし、騒がしいのを気にしていたらやっていけない」と、半ばあきらめのような気持ちを明かした。
駅前の騒ぎによって起こる問題の1つに「交通渋滞」があるが、タクシーの運転手は「立ち入り禁止は正直ありがたい」という。「普段ですらあの辺は混んでいてあまり通りたくない。W杯の時なんて進めなくなっちゃうからね」と話していた。