東京メトロの駅構内に設置された広告や案内表示の電飾看板で、ぼやが相次いでいた。原因は、蛍光灯の照明器具の電圧を調整する安定器の劣化という。
東京メトロは交換時期を15年に設定していたが、22年も使われていたものもあったという。地下鉄は本当に大丈夫なのか。
「15年交換規定」に見落としで22年間使用
東京メトロによると、2013年4月21日13時ごろ、日比谷線人形町駅のホーム壁面に設置された電飾広告から白煙が上がった。これに続いて、5月6日14時前に、日比谷線茅場町の改札の電飾案内板でもぼやがあった。いずれもすぐに消し止められ、けが人や電車の遅れなどはなかった。
原因は、蛍光灯の放電を調整する安定器が焦げていたこと。今回問題となった人形町の安定器は導入から14年、茅場町駅にいたっては22年も経過していた。
安定器の交換時期を東京メトロでは15年に設定している。一方、照明器具メーカーの業界団体は10年での交換を推奨しているという。
東京メトロによると、「業界団体の推奨交換時期は点灯時間から概算したもので、実際にはメーカーにより7年から15年、10年から15年などバラつきがある。そこで独自に計算して15年とした」という。
ただ、茅場町の件については盲点をつかれたようだ。
実は、「交換時期が15年」と定まったのは比較的最近のことで、それ以前は一律の交換時期はなく、1~2年に一度点検をおこない、劣化が確認されれば交換と言うかたちで整備をおこなってきた。
08年に新橋駅コンコースで「壁に埋め込むタイプの案内看板」からけむりがでたことと、11年8月の飯田橋に「壁に埋め込まないタイプの案内看板」からぼやがでたことから、これらについては「15年で交換」と定めた。
ところが、今回ぼやを起こした茅場町の電飾案内板は、この時の規定に含まれていなかったため、交換されていなかった。