ネット損保の拡大でシェア奪われる
一方、自動車保険事業の利益は改善しているが、道半ばの面がある。保険料が高い若者の自動車離れが進む一方、保険料の安い高齢者の事故が増加しているためだ。契約者から集めた保険料で保険金と事業経費をまかなえているかを示す「コンバインドレシオ」と呼ばれる指数で見ると、3メガとも2013年3月期も実質赤字と言える水準で、従来からの赤字を脱却できていない。
自動車保険は各社とも収入保険料の半分程度を占める主力事業に変わりないため、収益改善に向けて値上げに動き出した。
NKSJ傘下の損保ジャパンと日本興亜が4月から平均2%値上げしたのに続き、MS&AD傘下の三井住友海上が平均1.7%、あいおいニッセイ同和が平均1%強の値上げを10月に実施。東京海上傘下の東京海上日動も10月に平均1.9%の値上げに踏み切る。
値上げは、当面は収益改善に貢献すると見られるが、中長期的には代理店などの従来型チャンネルを通じた自動車保険離れを呼ぶ可能性もある。インターネットで買い物をすることに慣れ親しんだ若者にすれば、パソコン操作だけで割安に加入できるネット損保に契約が流れるのは自然。縮小傾向の自動車保険市場で、ネット損保の拡大でさらに大手のシェアが食い荒らされる可能性もある。