日本航空(JAL)の植木義晴社長は2013年5月30日の定例会見で、1月からバッテリーのトラブルで運航停止が続いていたボーイング787型機について、他機種と比べて予約状況に差がないことから、「『787離れ』は進んでいない」との見方を示した。
787をめぐっては、全日空(ANA)がすでに国内線の臨時便で5月26日に営業飛行を再開しており、ANAが6月1日未明の羽田発フランクフルト行き、JALも同羽田発シンガポール行きでそれぞれ定期便の運航を再開する。
夏の予約状況は現時点では「例年並み」
植木社長は、いわゆるアベノミクスが業績に与える影響について 「残念ながら、まだ『これがアベノミクス』ということろまで明確に表れているわけではない。中長期にわたっては、必ず効果が出てくると理解しているので、今が辛抱時」 と効果が出るまでには時間がかかるとの見方を示した上で、円安で夏場の観光需要の冷え込みが懸念されることについては
「夏は、まだ予約をいただいたばかりで正確には分からないが、例年並みに予約をいただいている」
と述べ、現時点では影響は出ていないとした。787と他機種の予約状況の違いについて問われると、植木社長は
「おかげさまで堅調。したがって、予約の数からすれば決して『787離れ』は進んでいないと思っている。お客様にご理解をいただけるように、今後とも努めていかないといけない」
と述べた。
13年12月から767にも新座席装着始まる
ANAは787を国内線を中心に投入しているのに対して、JALは国際線でのみ使用している。この点については、
「競合他社とは考え方の違いかもしれないが、この飛行機の一番優れたところは経済性。中型機でありながら初めてロングレンジ(長距離路線の利用)に堪える。こういう点を存分に活かしたい」
と述べ、国内線への投入は引き続き否定的だ。
あわせて、中型旅客機のボーイング767-300ER型機の座席が13年12月から順次リニューアルされることも発表された。すでに同様の座席の改修は大型機のボーイング777-300ER型機でも始まっており、改修が改修すると、欧米線と長距離の東南アジアの長距離路線のビジネスクラスには、すべてフルフラットのシートが装備されることになる。