参院選控えて議論は先送りか
弁護士出身の下河辺氏は、財界で引き受け手がみつからず、1年の約束で会長を引き受けた経緯もあり、社外取締役の「集団辞任」も一時は取り沙汰された。そこで4月下旬に安倍晋三首相と下河辺会長らの会談をセットし、首相が「東電が直面する課題や福島の復興再生のために国も一歩前に出たい」との言質を与えて、下河辺氏らの留任でようやく収まったという。
東電は今秋をメドに計画を改定したい考えだが、国の対応は「これから検討したい」(茂木敏充経産相)というように、全く未知数。金融機関の協力は当然として、代替火力の燃料費負担を穴埋めするため「再値上げの検討が避けられない」(東電の取引先銀行幹部)との見方が強い。
さらに柏崎刈羽の再稼働と国の支援を組み合わせて盛り込むというのが、東電が描くシナリオ。それぞれの時期、規模などは別にして、「メニューとして、そうしたテーマが必要なのは官民を通した共通認識」(経産省筋)。だが、料金再値上げや税金の投入には国民の反発も根強く、参院選も控え、具体的な議論はまだ先になりそうだ。