政府と東電が水面下で火花を散らす
計画が事実上破たんする中、東電経営への政府の関与をめぐり、政府と東電は水面下で火花を散らした。関係者によると、危機感を募らせたのは、下河辺和彦会長を含め、数土文夫JFEホールディングス相談役、小林喜光三菱ケミカルホールディングス社長らの社外取締役。
原子力の「国策民営」という矛盾の中で、東電に福島事故の責任を一義的に負わせるのが今の仕組みだが、賠償や除染などの費用が想定の5兆円から倍増するのは必至とされるなか、「最後は国が全面的に責任を負うしかない」(経産省筋)。
昨年11月には社外取締役が記者会見に顔をそろえ、賠償や除染、廃炉で国の追加支援を求めた。しかし、自民党の政権復帰後も政府の動きは鈍く、政府内から「現状のまま5年塩漬け」論まで出るに及び、業を煮やした東電の社外取締役の間では、取締役辞任との切羽詰まった意見も浮上していた。