東電の経営再建に2つのハードル 「料金再値上げ」と「原発再稼動」

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   東京電力の経営再建計画「総合特別事業計画」の見直し論が動き始める。2012年5月に政府の認定を受けてから1年が過ぎたが、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働の見通しが立たないなど、計画は実質破たん状態だ。安倍晋三首相が「国も一歩前に出たい」と語ったように、どこまで国が関与するかが大きなポイントになる。

柏崎刈羽は依然メドが立たない

   東電の2013年3月期決算(連結)は、最終損益が6852億円の赤字と、前期の7816億円に続き、2期連続の大赤字になった。原発の稼働停止に伴う火力発電用燃料が膨らんだのが主因だ。特別損失は3兆円近かった前期から半分以下に減ったものの、なお1兆2488億円を計上。多くが福島事故に伴う損害賠償費だ。

   この1年、計画に掲げた内容で実現したのは人件費削減や資産売却のリストラと、昨年9月からの家庭向け料金値上げぐらいで、全体として遅々として進んでいない。

   中でも、計画に盛り込んで全く実現のめどが立たないのが柏崎刈羽原発の再稼働。今年4月から順次運転を再開する予定だったが、原子力規制委員会の新安全基準策定の遅れなどもあって、全く見通しは立たない。再稼働を前提にした今期(2014年3月期)の黒字転換(経常黒字1000億円)は夢のまた夢で、4月末の決算発表で、今期業績見通しを「未定」とするしかなかった。

   柏崎刈羽原発は福島第1と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)で、再稼働のためには、蒸気に含まれた放射性物質を取り除くフィルター付きベントの設置が義務付けられるなど、審査のハードルは高い。泉田裕彦新潟県知事は、「福島第1原発事故の検証がされるまで再稼働の議論はしない」と一貫して主張、再稼働には極めて慎重姿勢で、知事の出身の経済産業省からも「泉田知事のうちは再稼働できない」(次官OB)と、諦めの声が出るほどだ。

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