長谷川洋三の産業ウォッチ
マハティール元首相のアドバイス:中国と付き合うには、力で対決より貿易で

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「中国を敵とみなして力で対決を強めれば中国はかえって防衛力を強めて対抗するだろう。力と力の対決の行く着く先は戦争と破壊だ。戦争によるコストは計り知れない。しかしわれわれは中国と2000年にわたって貿易をしているが、中国と戦争をしたことはない。中国は戦争を望んでいないだろう。中国と付き合うには、力で対決するより、中国に自由を与え、貿易で付き合う方が利益にかなっている」

   2013年5月24日、東京都内で開かれた日本経済新聞社、日本経済研究センター共催の第19回国際交流会議「アジアの未来」で講演したマレーシアのマハティール元首相は、中国とどう付き合うべきかとの会場からの質問にこう答えた。

「中国は戦争を望んでいないだろう」

   マハティール元首相は25日、日本外国特派員協会(FCCJ)で開いた記者会見でも、南シナ海において領有権を主張する中国に対し自国の権益を守ることができるのか、との私の質問に対して「中国は変化している。貧しい国から経済大国になろうとしている。中国は戦争を望んでいないだろうし、我々は新しい中国に態度を変える必要がある」と強調した。

   マハティール元首相は、「中国と戦争をした日本やベトナムと、戦争をしたことのないマレーシアと中国の関係はやや異なる」とも指摘したが、尖閣問題などで中国と緊張関係にある日本を念頭に中国と平和共存の道を探ることの必要性を示唆したものとみられる。ただ同氏は中国が海軍力を強めていることなどについては特に触れておらず、中国より欧米に警戒感を持っているとの認識を鮮明にした。

   アジアの未来ではタイのインラック首相やシンガポールのリー首相など、日本がこれまで以上にアジアへの戦略に関与を深めることを期待する声も出たが、中国については「脅威」より「対話」を望むことが本音のようだった。

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