「豪腕」か「報復」か? 現場の動揺は? 日本郵政の首脳部人事に異例の「政治介入」

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好業績企業の経営陣を大株主が一掃

   政府関係者からは「日本郵政の斎藤前社長の交代の仕方があまりにまずかった」との指摘が多い。坂氏は橋本竜太郎首相秘書官のほか、小泉純一郎内閣時代に内閣府政策統括官、第1次安倍内閣時代には内閣官房副長官補も努め、自民党とのパイプは太く、安倍首相にも近いと目されていた。このため「斎藤氏の強引ともいえる交代劇さえなければ、盤石な坂体制の確立など違う展開になっていたのではないか」(政府関係者)との声もある。

   斉藤氏については反自民連立の細川護煕政権で小沢一郎新生党代表幹事(当時)と手を握って消費増税を仕掛けるなど自民党の恨みを買った過去がある。「斉藤氏は、嫌われ者の自身が身を引けば自民党の理解は得られると判断したのではないか」(財務省OB)との見方もあり、自民党政権への交代前に社長を替わった方が軋轢は少ないと思ったのかもしれない。しかし、読みは完全に外れ、裏目に出た格好だ。

   だが、「民営化した企業の人事に大きく関わるような政治介入は避けるべきではないか」(政府関係者)との批判も政権内外から聞こえる。経済界からも「株主(である政府)が直接、(人事案を)提言した形で、株主横暴との批判が出る可能性もある」(経団連の米倉弘昌会長)との声が出る。特に社外取締役を含めた「一掃人事」は、昨年末に坂社長昇格を認めた取締役全員に責任を取らせた形で、「菅長官による一種の報復人事」(霞が関筋)といった批判がくすぶる。

   日本郵政が発表した2013年3月期連結決算は、最終(当期)利益が前期比20.0%増の5627億円と2007年の民営化以来の最高益を確保。日本郵政関係者の中には「好業績を達成した企業の経営トップを簡単に交代させていいのか」との不信感も広がっている。

   新規業務をいかに拡大し収益を上げるかなど日本郵政が直面する課題が山積する中、「現場の混乱につながらなければいいが」(政府関係者)との懸念も漏れている。

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