法曹界では、まとまった見解はなく
ヘイトスピーチの規制については、メディアでの言論でも、賛否両論がある。
弁護士ドットコムの2013年5月23日付記事では、中川重徳弁護士が法規制すべきとの立場からコメントを寄せた。中川氏は、実際に在特会のデモを見て、言論の範囲を逸脱した重大な人権侵害があったとして、「刑事罰があってしかるべき」と説いた。ただ、表現規制の危険から、他の手段を検討することも重要だとしている。
ジャーナリストで民主党参院議員の有田芳生氏も、ツイッターでこの記事に触れ、「『正当な言論』を規制しない新法の議論をすべきでしょう。『殺せ!』は『正当な言論』ではありません」とつぶやいた。岐阜新聞の社説についても、「秀逸です」として、「表現の自由との関わりでも踏み込んだ見識はもっと検討されるべきでしょう」と言っている。
一方、弁護士ドットコムの記事で、齋藤裕弁護士は、ヘイトスピーチの規制は必要ないとの意見を述べた。齋藤氏は、規制は正当な言論活動にまで及ぶ危険があるとし、むしろカウンターデモなどの手段が有効だと指摘した。また、特定の被害者が分かれば、脅迫罪や損害賠償請求が適用できる可能性があるとも言う。
フリーライターの赤木智弘さんは、ライブドアニュースの4月9日付コラムで、法規制に疑問を示し、「ヘイトスピーチを排除するのは国家権力の仕事ではなく、国民の仕事である」と主張した。「国民がそのまっとうな言論をもって、恥ずべきヘイトスピーチを口にする人たちを地道に根気よく批判し、力を失わせて行くしか無いのである。自由を求める道に近道などない」と指摘している。
法曹界では、規制についてまとまった見解はないようだ。日弁連の山岸憲司会長は5月24日にヘイトスピーチに反対する声明を出したが、「直ちに中止することを求める」としただけで、規制についての言及はなかった。