客の様子を撮影し「月刊ザ・万引」ビデオを販売した書店も
この書店では、少年たちが店内で万引きしている様子を5台の防犯カメラで撮影しビデオに収録、「ザ・万引き」として280円で販売していた。ビデオは全部で100巻作り完売、万引きは無くなったという。そして、ビデオに写っていた中学生が謝罪に来ても追い払い、親が抗議の電話をすると「万引きの償いはしなければならない」と返した。福島地方法務局や警察署が「少年の人権を侵害する」と販売中止を求めたが応じなかった。93年8月8日には新たに「月刊ザ・万引」を創刊し、330円で売り出して完売。96年にも大人2人、高校生ら若者6人が万引きするビデオを390円で販売している。
チェーン店全店で取り組んだ例もある。群馬県高崎市に本部のある当時10数店舗あったディスカウント店が入り口に万引きをした人の写真を掲載するという告知を出し、レジの後ろに男女2枚のカラー写真を掲示した。万引きした人を捕まえて撮影したものだ。レジ近くには「入店お断り名簿」があり、百枚近い顔写真がとじられていた。前橋地方法務局は「人権への配慮を欠く、として94年末から中止を申し入れたが、96年4月にはレジ後ろの写真をこれまでの2枚から5枚に増やした。写真の下には写真の下には入店を断っている人たちだとし「見つけ次第知らせて下さい」と書かれていたと報じられた。
法務局や警察などから注意を受けても止めずにますますエスカレートして行った過去の例があり、それだけ万引きに対する憎悪があるのだろう。今回の鮮魚店も取材に対し、
「万引きをなくすためにやっていることなので、これからも写真の掲載などをやめるつもりはありません」
と話している。