「ベースキャンプまで歩いていかなければならないということはありません」
このときは、アルピニストの野口健さん(39)が自力下山できないのなら、登山とは言えないのではないかとツイッターで発言して話題になっている。
では、三浦雄一郎さんのケースはどうなのか。野口さんに取材すると、今度は「登山と言えると思います」と明かした。
「イモトアヤコさんの場合は、現地ガイドが出した条件に沿って、山頂からヘリで下りることが最初から前提になっていました。しかし、三浦さんの場合は、ベースキャンプまで歩いて下りてくるつもりで登っており、結果的に自力で下山できなくなっただけだと思います」
三浦さんは、過去に心臓手術をしており、これ以上高所にいるのは危ないとドクターストップがかかったとした。テレビ中継などで山頂に1時間もいたのも体調を崩した原因ではないかという。
また、アイスフォールが崩れると、はしごをかけ直すなどに相当時間がかかるのもネックになったとみる。公式フェイスブックによると、実際にアイスフォールで大崩落があり、ルートの一部がしばらく不通になっていた。
ただ、自力で下りてくるのが理想でもあり、「本人も心残りだったのではないですか」と言う。ギネス記録などに登山として認められるかについては、「定義ははっきりしない部分があり、意見は出るかもしれませんが、記録は認められると思います」としている。
日本山岳協会の神崎忠男会長も、野口さんと同様な考え方だ。
「登山界では、ベースキャンプまで歩いていかなければならないということはありません。アイスフォールは危険ですので、ヘリもありだと思います。いずれにせよ頂上に立つことが重要であり、登山として認められますよ。意見が出ないとは限りませんが、その功績は謙虚に受け止めたらいいと思います」