「専門薬剤師」が乱立気味 病気ごとに約30種、収拾つかない恐れ

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   急増している専門領域薬剤師の質をどう保つかが2013年 5月24日に開かれた薬剤師認定制度認証機構 (吉田武美・代表理事) の理事会で大きな議論になった。同機構は2004年に設立された第三者評価機関で、日本薬剤師会などの団体や大学薬学部が実施する生涯研修制度の中身を評価し、質の向上を図っている。

取得の条件や義務もまちまち

   大学や病院薬剤師、薬局などの代表のほか、法律家、看護師なども加わった理事会は、今後の方向として、専門領域薬剤師の研修制度の認定の必要性などを話し合った。

   同機構によると、薬剤師団体や学会が次々に専門薬剤師を認定している。がん関連だけでも日本病院薬剤師会の「がん薬物療法認定薬剤師」のほか、日本医療薬学会「がん専門薬剤師」、日本臨床腫瘍学会「外来がん治療認定薬剤師」、日本緩和医療薬学会「緩和薬物療法認定薬剤師」などがあり、精神科、感染症、HIV(エイズ)、糖尿病などの病気ごと、さらには救急や漢方、プライマリケア、スポーツ、禁煙など30種類にものぼっている。そのうえ、専門薬剤師を何年か経てから「指導薬剤師」になる段階制度もある。

   取得の条件も、学会に何年か入っていれば取れるもの、1日の実習から5年間の業務を義務づけたり、学会発表や論文などの条件もまちまちで、質も一定しない。

   多くは継続して学会会員であることを義務づけており、会員を確保したい学会の思惑が見える。新しい分野の学会が増えるに連れ、種類もどんどん増えており、このままでは収拾がつかなくなることや、個々の薬剤師のためになっているか、など、理事会では多くの問題点が指摘された。質の向上のために第三者機関の目が必要なことではほぼ一致し、何らかの形で同機構が関与し、質の向上を目指すべきとの意見が強く出た。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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