次々消える「自転車通行可」歩道 「専用レーン」対策遅れ、戸惑いの声

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   自転車と歩行者の接触事故が増加するなか、自転車通行可能な歩道が続々と姿を消している。

   法律上「自転車は車両」であり、原則として車道を走らねばならないためだが、自動車の通行量が多い車道は危険。自転車専用レーンの設置も遅れており、利用者を戸惑わせている。

道交法上は「軽車両」、車道を走るのが原則

自転車通行可の歩道(東京都千代田区)
自転車通行可の歩道(東京都千代田区)

   警察庁が2012年10月5日付で公表した「自転車の交通事故の実態と自転車の交通ルールの徹底方策の現状」によると、2011年の自転車関連事故の全交通事故に占める割合は約2割で、増加傾向にあるという。特に自転車対歩行者の交通事故件数は2011年に2801件に上り、10年前の1.5倍に達した。

   道路交通法では自転車は「軽車両」と位置付けられている。車道と歩道が区別されている道路では車道を走るのが原則で、歩道通行は例外的なケースに限られる。だが警察庁交通局長名で各都道府県警察の長らに発信された2011年10月25日付の文書を見ると、自転車利用者の間では歩道で「歩行者と同様の取り扱いをされるものであるという誤解が生じていた」と指摘し、「今一度、自転車は『車両』であること」を広く徹底させることとしたと強調。自転車利用者は歩道以外の場所を通行するよう促し、やむを得ない事情から歩道を利用する場合にも歩行者優先というルールを順守させる必要がある、としている。

   これまで歩道によっては「自転車通行可」の標識が路上に示され、歩行者の妨げにならない程度に自転車の利用が認められてきた。だが、警察庁の方針を反映してか、全国各地でこのような措置を撤回する動きが進んでいるようだ。NHKが2013年5月25日に報じたところによると、全国の警察が「自転車通行可」の標識を取り外した歩道は、2012年で516か所、区間距離は356キロに及ぶという。最も長かったのは千葉県で87キロに達したそうだ。

   前出の警察庁交通局長名の文書には、推進すべき対策のうち「自転車と歩行者との分離」の項目が設けられている。ここでは歩道の自転車通行について実施場所の見直しに関する記述があり、道幅3メートル未満の歩道の場合、歩行者の通行量が極めて少ない、あるいは車道の交通量が多く自転車が車道を走ると危険というケースを除いて「見直すこと」を明記されていた。

自転車専用レーン整備の「モデル地区」つくったが…

   自転車の車道通行促進のため、警察庁は自転車専用の走行場所の整備が不可欠としている。2011年9月には「普通自転車専用通行帯」という標識を新たにつくり、車道での「専用レーン」確保のために活用しているという。

   これに先立つ2008年1月、国土交通省と警察庁が連携して全国98か所の「モデル地区」を設置。自転車専用レーンの整備に取り組み始めた。国交省のウェブサイトには東京都渋谷区や三鷹市で自転車レーンが新設された様子を写した写真が公開されている。2012年11月には、国交省の「安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた検討委員会」の提言を受けて、自転車レーンの設置を含む「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を公表している。

   だが現状では、専用レーンが順調に増えているとは言えなさそうだ。NHKの報道によると、2012年度で整備されたのは53か所にとどまっているという。自転車通行可の歩道が撤去されたのが昨年1年だけで516か所に上っており、自転車が「行き場」を失っている印象を受ける。

   この問題はインターネット上でも議論になっている。ネット掲示板には、車道走行は危ない、歩道をゆっくり走ればいいのではないか、といった自転車利用者の意見や「車道走らせるなら、(自転車を)免許制にしてほしい」と、車を運転する立場からの声も出ている。

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