未成年者がタバコを吸うことは法律で禁止されている。それでも好奇心だったり、家族や先輩に勧められたり、時には大人ぶって吸ってしまう。一昔前まで、そんな光景が日常的だったが、今の高校生でタバコを吸う人は「絶滅危惧種」に追い込まれつつあるようだ。
北海道で2012年12月から13年1月にかけて調査したところ、17年前の1996年度に「直近の1か月で喫煙した」と答えた高3男は48.8%いたのに対し、なんと2.9%まで減っていたことがわかった。
「20歳になったらタバコを吸う」と答えたのは5%
北海道が調査したのは道内の高校22校の男女2471人で、この1か月間でタバコを吸ったのは男子が2.9%、女子が1.6%だった。男子は1996年度には48.8%が吸っていた。今回の調査で「これまで喫煙経験がない」人は全体で91%と圧倒的。「20歳になったら喫煙するか」との問いに、「吸わないと思う」と答えた人は83.4%、「吸うと思う」が5%、「どちらとも言えない」が11.6%だった。
高校生がタバコを吸わなくなったのは北海道に限らない。厚生労働省の「2007 年度お酒とタバコについての全国調査」によれば、96年度調査でタバコを吸った経験のある男子高校生は51.9%、女子高校生は33.5%に対し、07年度はそれぞれ24.8%、15.1%に低下。30日間で1日でも吸った高校生は96年度が男子30.7%、女子12.6%に対し、07年度はそれぞれ12.6%、4.7%だった。
島根県でも同じような調査が行われていて、一度でもタバコを口にしたことのある高校二年生は男子が98年度調査では60.1%、女子が37.0%いたのに対し、2010年度はそれぞれ13.3%、10.1%。1か月間に一度でも口にした高校2年生の割合は、98年度調査で男子が35.1%、女子が12.9%に対し、10年度はそれぞれ3.0%、2.9%と低下している。
タバコを吸う人はダサイしカッコ悪い
なぜこれほどまで喫煙する高校生が少なくなってしまったのか。北海道保健福祉部の担当者に話を聞いてみると、まず、未成年の喫煙は禁じられているため本来ならゼロが当然だ、としたうえで、健康志向のなか社会的にタバコに対する意識が変わり、生徒たちの親や、周りにいる先輩などの禁煙が進んだことでタバコと接する機会が少なくなった。タバコを買おうとしても自動販売機では身分証にあたる「タスポ」が必要で、コンビニに行くと年齢確認をさせられる。高校には北海道がタバコの受動喫煙の危険性を説明するため保健師を要望に応じて派遣している。
こうしたことなどから、
「タバコを吸う人はダサイ、カッコ悪いという意識になっているのだと思います。昔はタバコを吸う姿は大人びているなどといった感想もありましたが、今は全くの逆効果で、タバコの臭いなどを付けていたら手で払われ顔を背けられる、そんな状況です」
札幌にある喫煙所や居酒屋に行っても、若い人が喫煙している姿をめっきり見なくなったそうだ。タバコの値段も高くなっている。これからも高校生の喫煙率は下がるだろうと担当者は予想している。